英語の単数形と複数形の形が違う「不規則変化」は、英語の古い規則が残っているものと、「借用語」(外来語)に由来するものがあります。
「借用語」というのは英語以外の言語の語彙が、英語に取り入れられたものです。
特に、ラテン語や古代ギリシア語などに由来する単語の一部は、もともとの単語の形を押しとどめています。つまり、ラテン語や古代ギリシア語における単数形・複数形の形が、そのまま英語に取り入れられたのです。
その多くは、学術用語や専門用語だったのですが、中には、広く世間に浸透していったものもあります。
単数形 | 複数形 | ||||
datum(データ) | → data | ||||
medium(メディア) | → media | ||||
phenomena(現象) | → phenomenon | ||||
analysis(分析) | → analyses | ||||
oasis(オアシス) | → oases | ||||
basis(基礎) | → bases |
「data」や「media」、「phenomenon」などは正式には「複数形」ですが、これらの語が一般化するにつれて、現在では「単数形」としても使用されるようになっています。複雑な「単数・複数」の区別を無視して、一種の「単複同形」のように使われ始めるということですね。
さらに「英語化」が進行すると、「s」が付けられるようになるかもしれません。
英語に限りませんが、ある言語に、別の言語から語彙が流入する過程で、もともとの語の性質が変化させられることがあります。
最初は、もともとの言語における「単数・複数」の表示がそのまま取り入れられますが、やがて、その言葉が広く一般的に使われるようになると、徐々に英語の「ルール」に組み込まれていくのです。
英語は、日本語の語彙もたくさん取り入れています。
日本語は、「単数・複数」を区別しない言語なので、日本語由来の単語は、最初は「単複同形」として扱われることが多くなります。
たとえば、「samurai」「ninja」「haiku」などは、以前は複数を表すときでも「s」を付けないでそのままの形で表記されていましたが、近年では、「s」を付けた表現も見られるようになりました。
語彙がだんだん「英語の単語」として定着するにしたがって、英語の慣例に従って「s」が付けられるようになってきます。
※複数形で使われる単語
基本的に「ペア」で使うものは、「s」が付けられます。
shoes(靴) | socks(靴下) | chopsticks(はし) | ||
gloves(手袋) | glasses(めがね) | scissors(はさみ) |
ちなみに、アメリカのプロ野球(メジャーリーグ)に「Red Sox」や「White Sox」という名前のチームがありますが、「sox」(ソックス)は「socks」のことなので、その表記には、複数形の「s」が内包されていることになります。
「shoes」などを数えるときには、「one(a) pair of shoes」「two pairs of shoes」・・・と数えます。
中2の授業では、集合名詞の説明もしました。
※集合名詞
同じ種類のものや人が集まった「集合」を表す名詞です。
family(家族) | class(クラス) | team(チーム) | ||
club(クラブ) | crew(乗組員) | government(政府) | ||
company(会社) | audience(聴衆) | crowd(群衆) |
上に挙げた「集合名詞」は「単数扱い」になるものです。
例:
My class is wonderful.
「私のクラスは素晴らしい。」
「クラス全体」を「1つのもの」として扱う場合は「単数扱い」ですが、個々のものをさす場合には「複数扱い」になります。
「1つのもの」ではなく、「複数の存在」をあつかうことになるからです。
例:
My class are all well.
「私のクラスはみんな元気だ。」
また、集合名詞は、数えられないわけではないので注意してください。
「one (a) class」、「two classes」、「three classes」・・・。
一方、常に複数扱いをする集合名詞もあります。
people(人々) | police(警察) | cattle(家畜の牛) |
例:
The people are running in the park.
「その人たちは公園で走っている。」
このなかで、「people」は「人々」という意味のときは「複数扱い」ですが、「国民・民族」という意味のときには単数・複数を区別して使うので注意しましょう。
その場合には、単数は「people」、複数は「peoples」になります。
あとは、不可算名詞について説明しました。
この辺は大丈夫だと思います。
ノートを確認しておきましょう。
(ivy 松村)