幼いころの12月後半は、「わくわく」が詰まっていました。
クリスマスがあって、外国の雰囲気に浸ったあとで、大晦日と正月がやってきて、今度は古い時代の名残りに触れることができる数日間。年末は、確かに特別なものでした。
だんだんと、街中の飾りもにぎやかになってきました。
塾にクリスマスの飾りは必要なのだろうか、という問いを、実は数年来考えていて、まだ答えが出ていません。
これは、私にとっては、塾の存在理由にまつわる重要な問いなのです。
ハロウィンは全力で否定できるのですが、クリスマスは、難しいですね。
「時期」も重要なポイントですね。
あるころから、年末といえば、井原西鶴の『世間胸算用』が思い浮かぶようになりました。
さまざまな職業や立場の人たちの大晦日の一日を描いた作品です。現代風にいえば群像劇といえるのだろうと思います。個々の人物たちのあり様を描き、その集積によって、社会全体の「リアリティー」を浮かび上がらせようと試みた作品です。
なんとなく、構成や内容に社会学的な視点が感じられ、読んだとき、非常に新鮮に感じました。
その影響なのか、冬空の下で、今、別のどこかで、誰かが、その人なりの人生をおくっているのだろう、とぼんやりと考える瞬間があります。
年末は、他者への想像力が掻き立てられる季節なのです。
受験生のことはいつも心配になります。
この塾に通ってくれる生徒のことも、もちろん考えます。
かつての教え子や、卒業生のその後が気になるときもあります。
(ivy 松村)