来月に、豊田駅前にイオンモールがオープンします。
雑談をしていて、数学の杉田先生に、「モール」って針金の「モール」と関係があるんですか、と聞かれ、気になって調べてみました。
イオンモールの「モール」は「mall」で、遊歩道、商店街という意味です。
針金の「モール」は、「mogol」というポルトガル語がなまったものだそうです。
まさか、ポルトガル語だとは!それにしても変な綴りです。
ポルトガル語の発音を調べてみると、「モゴル」という発音でした。
「g」の発音は無音になりやすいので、「モゴル」の「ゴ」という音が消失し、「モール」となったのかもしれません。
「モゴル」→「モール」
さらに調べてみて、驚いたのは、その言葉の由来が「ムガル帝国」だったということです。ムガル帝国というのは、15世紀から19世紀に北インドを支配した大帝国です。
ポルトガルは、大航海時代にインドに拠点を持っていましたから、ムガル帝国と交易があったのでしょう。
「ムガル」→「モゴル」→「モール」
地名や国名、都市名(やその形容詞形)などが特産品や加工品の名前になることがあります。
・カボチャ(カンボジア)
・フランクフルト(フランクフルト、ドイツ)
・ハンバーガー(ハンブルグ、ドイツ)
・シャンパン(シャンパーニュ、フランス)
・ナポリタン(ナポリ、イタリア)
・ウィンナー(ウィーン、オーストリア)
・デニッシュ(デンマーク)
…食べ物が多いですね。
また、かつて、室町時代に、ポルトガル人が種子島にやってきて日本に伝えた鉄砲のことを、「種子島」と呼んでいたこともありました。
実は、「日本」も特産品の名前なのです。英語で「japan」(最初の文字を小文字で書く)というのは、漆器のことです。
また、英語で「china」といえば、磁器のことです。
さて、ポルトガル語で「ムガル帝国」という意味の「モール」ですが、もともとは豪華な特産品でした。
横糸に絹糸を使い、縦糸に金や銀の糸を使って織り上げた織物を「モール」といったのだそうです。やがて、金糸や銀糸などをより合わせた、装飾に用いるひも状のものも「モール」と呼ぶようになったそうです。
さらに現在では、「ひも」として使うのではなく、針金などが芯に入っている、飾りつけに使うものをモールと呼ぶようになっています。
モールの語源は、さらにさかのぼることができます。
ムガル帝国の創始者バーブルは、中央アジアに大帝国を築いたティムールの子孫です。
ティムールはチンギス=ハンの血を引くとされた人物で、さらにバーブルの母方もチンギス=ハンの血筋でした。
そのため、バーブルが建国した国はモンゴル帝国の後継とみなされたのです。
「ムガル帝国」は、ペルシャ語で「モンゴル人の帝国」という意味です。
「モンゴル」→「ムガル」→「モゴル」→「モール」
空前絶後の巨大帝国の「モンゴル」と、100円ショップにある針金の「モール」。
ロマンと哀愁を感じてしまいますね。
イオンモールには100円ショップのダイソーが出店するそうです。すると、モールでモールが買える日が来ますね。
(ivy 松村)