都立高校の最終応募倍率が出ました。
日比谷・戸山・青山・西・八王子東・立川・国立の最終応募倍率の年度別推移を見てみましょう。
まず、男子です。
男子 | 29年度 | 28年度 | 27年度 | |||||
日比谷 | 2.47 | 2.52 | 3.25 | |||||
戸山 | 1.89 | 2.35 | 2.76 | |||||
青山 | 1.98 | 2.43 | 2.38 | |||||
西 | 1.96 | 2.12 | 2.20 | |||||
八王子東 | 1.34 | 1.41 | 1.50 | |||||
立川 | 1.67 | 1.56 | 2.08 | |||||
国立 | 1.57 | 1.81 | 1.98 | |||||
計 | 1.84 | 2.03 | 2.31 |
次に女子です。
女子 | 29年度 | 28年度 | 27年度 | |||||
日比谷 | 2.03 | 2.23 | 2.40 | |||||
戸山 | 1.71 | 1.91 | 2.18 | |||||
青山 | 2.08 | 2.34 | 2.11 | |||||
西 | 1.72 | 1.53 | 1.75 | |||||
八王子東 | 1.39 | 1.56 | 1.45 | |||||
立川 | 1.50 | 1.54 | 1.52 | |||||
国立 | 1.54 | 1.83 | 1.88 | |||||
計 | 1.71 | 1.85 | 1.90 |
男子も女子も全体の倍率が下がっています。
男子は、本年度は2倍を切り、グループ全体で「1.84」となりました。
女子は、「1.74」です。
昨年度は倍率を大きく下げることはありませんでしたが、本年度は下落しています。
昨年度は男子に強く「安全志向」があらわれ、本年度は女子に波及しました。
では、本年度、志願変更によって、倍率がどのように変化したのか確認してみましょう。
まず、男子です。
男子 | 増減 |
倍率 |
志願変更前 | |||||
日比谷 | -2 | 2.47 | ←2.48 | |||||
戸山 | -8 | 1.89 | ←1.95 | |||||
青山 | 2 | 1.98 | ←1.97 | |||||
西 | -3 | 1.96 | ←1.98 | |||||
八王子東 | 25 | 1.34 | ←1.15 | |||||
立川 | -20 | 1.67 | ←1.82 | |||||
国立 | 7 | 1.57 | ←1.52 | |||||
計 | 1 | 1.84 | ←1.84 |
次に、女子です。
女子 | 増減 |
倍率 |
志願変更前 | |||||
日比谷 | -14 |
2.03 |
←2.15 | |||||
戸山 | 5 | 1.71 | ←1.68 | |||||
青山 | 4 | 2.08 | ←2.05 | |||||
西 | -15 | 1.72 | ←1.84 | |||||
八王子東 | -1 | 139 | ←1.40 | |||||
立川 | 0 | 1.50 | ←1.50 | |||||
国立 | -6 | 1.54 | ←1.59 | |||||
計 | -27 | 1.71 | ←1.74 |
西高の女子は、昨年の低倍率に引き寄せられていた層が流出しました。
八王子東の男子が「+25」、立川の男子が「-20」です。
八王子東の男子は、低倍率に刺激された層が流入しました。
おそらく、立川からの志願変更が一定数あったはずです。
立川と八王子東は、校風は対照的ですが、学力レベルも、立地も近いので、両校の受験を視野に入れていた受験生のうち、倍率の差に促されて受験校を替えたのでしょう。
本年度は、特に、八王子東、立川、国立の3校の倍率が、「抑制」されているのがわかります。
多摩地区は、そもそも「都立志向」が強いということもあって、中学校や学習塾の受験指導は、都立入試に大きく傾いています。
また、都立高校に進学しない場合の「リスク」が「都心」に比べて大きくなることも、多摩地区のトップ校の倍率が沈静化される理由のひとつです。地域内に、トップ校を受験する学力層の、国私立の代替校が少ないために、都立入試の「比重」が大きくなるのです。
さらに、特別選考枠の廃止、内申点の換算方法の変更などによって、「逆転をねらう受験」の勝算が薄まってしまったわけです。
以上のような背景ゆえに、多摩地区では、慎重な出願が主流になりつつあります。
過去3年の志願変更による「人員」の流出と流入を見てみましょう。
まず、男子です。
男子 | 29年度 | 28年度 | 27年度 | |||||
日比谷 | -2 | -12 | -5 | |||||
戸山 | -8 | -2 | -19 | |||||
青山 | 2 | -22 | -9 | |||||
西 | -3 | -12 | 3 | |||||
八王子東 | 25 | 2 | 8 | |||||
立川 | -20 | 9 | -3 | |||||
国立 | 7 | -16 | -22 | |||||
計 | 1 | -53 | -47 |
次に女子です。
女子 | 29年度 | 28年度 | 27年度 | |||||
日比谷 | -14 | -19 | -8 | |||||
戸山 | 5 | -18 | -16 | |||||
青山 | 4 | -30 | -16 | |||||
西 | -15 | 0 | 1 | |||||
八王子東 | -1 | -6 | -3 | |||||
立川 | 0 | 6 | 7 | |||||
国立 | -6 | -11 | -15 | |||||
計 | -27 | -78 | -50 |
志願変更による流出と流入がどのように起きるのかは、倍率をはじめとする相対的な受験の情勢や、受験生の個々の志願状況に左右されます。
28年度、27年度は、取下げ・再提出の日程に「土・日」がからんだために、従来よりも受験のスケジュールに「余裕」ができました。
そのために、志願変更が少しばかり「戦略的」に使われることがあったようです。
一部の高校の合格発表を確認してから再提出することが可能になったことで、志願変更が活発になったのかもしれません。
志願変更による「人員」の流入や流出は、その人数の増減「だけ」で判断することはできませんが、トップ校の受験層では、積極的に志願変更を使う受験生が減っているのかもしれません。
「入試結果」の予測の精度が高まっているために、どこを受験するか、「ぎりぎりまで悩む必要がなくなってきている」からです。
ただ、本年度は、八王子東の男子があまりにも低倍率だったために、立川やその他の高校に一旦は応募した受験生の志願変更を刺激しました。
(ところで、私は上掲の高校群を、「グループ作成の7校」ということで「G7」と名付けてみたのですが、来年から自校作成となるので、このネーミングは何だかしっくりこなくなってしまいました。「進学指導重点校」←長い…。何か、いい呼び方はないものなのでしょうか。)
(ivy 松村)