改訂された国語を確認しています。
日野市は、本年度以降も光村図書の国語の教科書を採択していますが、八王子市は教育出版に変更されました。
教育出版の教科書を、今、少しずつ読んでいるところなのですが、やはり国語の教科書は面白いですね。
さて、光村図書の国語の教科書は、長年掲載され続けている「定番」の文章と、改訂ごとに差し替えられる文章があります。
中1の教科書を見てみましょう。
※引き続き掲載されている文章:
・「ダイコンは大きな根?」
・「ちょっと立ち止まて」
・「星の花が降るころに」
・「大人になれなかった弟たちに……」
・「いろは歌」
・「蓬莱の玉の枝――『竹取物語』から」
・「今に生きる言葉」
・「少年の日の思い出」
※差換えになった文章
旧版(なくなった文章) | 新版(新しく掲載された文章) | ||
ノンフィクション | ― | 「桜守三題」 | |
詩 | ― | 「竹」 | |
詩 | 「木は旅が好き」 | 「ぼくがここに」 | |
詩 | 「詩四編」 | 「詩の世界」 | |
物語 | 「にじの見える橋」 | 「花曇りの向こう」 | |
随筆 | 「江戸からのメッセージ」 | 「空を見上げて」 | |
物語 | 「雪とパイナップル」 | 「光る地平線」 | |
古文解説 | 「七夕に思う」 | 「月に思う」 | |
説明文 | ※「流氷と私たちの暮らし」 | 「幻の魚は生きていた」 | |
詩解説 | 「はじめての詩」 | ― |
「※」は新版では「資料」として掲載されている作品です。
中2の教科書を見てみましょう。
※引き続き掲載されている文章:
・「アイスプラネット」
・「枕草子」
・「メディアと上手に付き合うために」
・「言葉の力」
・「盆土産」
・「字のない葉書」
・「君は『最後の晩餐』を知っているか」
・「音読を楽しもう 平家物語」
・「扇の的――『平家物語』から」
・「仁和寺にある法師――『徒然草』から」
・「漢詩の風景」
・「モアイは語る」
・「走れメロス」
※差換えになった文章
旧版(なくなった文章) | 新版(新しく掲載された文章) | ||
ノンフィクション | ― | 「小さな町のラジオ発」 | |
論説文 | ― | 「科学はあなたの中にある」 | |
詩 | ― | 「落葉松」 | |
詩 | ― | 「鍵」 | |
詩 | 「明日」 | 「見えないだけ」 | |
説明文 | 「やさしい日本語」 | 「生物が記録する科学」 | |
短歌 | 「短歌十二首」 | 「短歌を味わう」 | |
物語 | 「旅する絵描き」 | 「世界で一番の贈り物」 | |
説明文 | ※「五重塔はなぜ倒れないか」 | ― |
「※」は新版では「資料」として掲載されている作品です。
中3の教科書を見てみましょう。
※引き続き掲載されている文章:
・「握手」
・「月の起源を探る」
・「俳句の可能性」
・「批評の言葉をためる」
・「高瀬舟」
・「挨拶――原爆の写真によせて」
・「故郷」
・「音読を楽しもう 古今和歌集 仮名序」
・「君待つと――万葉・古今和歌集・新古今」
・「夏草――『おくのほそ道』から」
・「わたしを束ねないで」
※差換えになった文章
旧版(なくなった文章) | 新版(新しく掲載された文章) | ||
情報 | ― | 「『想いのリレー』に加わろう」 | |
論説 | ― | 「新聞の社説を比較して読もう」 | |
ノンフィクション | ― | 「エルサルバドルの少女 ヘスース」 | |
詩 | ― | 「初恋」 | |
詩 | 「朝焼けの中で」 | 「春に」 | |
俳句 | 「俳句十六句」 | 「俳句を味わう」 | |
論説 | 「ネット時代のコペルニクス」 | 「作られた『物語』を超えて」 | |
評論/論説 | 「聴くということ」 | 「誰かの代わりに」 | |
漢文 | 「学びて時にこれを習ふ――『論語』から」 | ― | |
小説 | ※「蝉の声」 | ― | |
随筆 | ※「アラスカとの出会い」 | ― | |
随筆 | ※「温かいスープ」 | ― | |
「※」は新版では「資料」として掲載されている作品です。
「不動」の文学的文章は、やはり外せないので、説明的文章が頻繁に差し替えられます。
論説文や説明文は、「時代的な要請」や「流行」もあるので、なかなか「定番化」するのは難しそうです。
長年掲載されているのは、中1の「ちょっと立ち止まて」ぐらいでしょうか。
後は、中1の「ダイコンは大きな根?」、中2の「モアイは語る」、中3の「月の起源を探る」が、なじみの文章になりつつありますが。
構成面での変化は、「ノンフィクション」が掲載されるようになったことと、詩の掲載が増えたことです。
ところで、中2の教科書には「走れメロス」が載っています。
以前、「メロス」の「ス」の「ヽ」の部分を執念深く消しゴムでこすって消して、「フ」となった部分を、また根気よく消しゴムで整えて、最後にペンで丁寧になぞって「ン」に書き換えていた生徒がいました。
「走れメロン」。
・・・その「センス」はくるおしいほどに大好きですが、教科書を大切に使ってください。
整然としているもの、規律正しいもの、神妙なもの、静謐なもの、実直なもの、健全なもの、誠実なもの、真面目なものが「苦手」な人間は、そういったものを「汚す」ことで、精神的に落ち着こうとします。
教科書やノートやプリントに無意味な線を書きつけたり、だらしない文字を書きなぐったりして、「きちんとしたもの」が汚れると、安心するわけです。
プリントなどを整理せずに破いたり、おかしな折り目を付けたり、消しゴムを鉛筆で刺しまくったり、机に文字を彫ったりするのも、同じような幼稚な精神の表れです。
早く、精神的に成長しましょう。
中学の国語の教科書は、もっとも完成された「教養書」です。
これをおろそかに扱うのは、本当にもったいないと思います。
(ivy 松村)