今年改訂された中学の教科書を確認しています。
日野市の社会は、地理が帝国書院、歴史が東京書籍です。公民は帝国書院から東京書籍に変更されています。
帝国書院の地理の教科書は、構成や内容が大きく変更されています。
ページ数は変わらないのですが、情報は増えています。
サイズが大きくなり物理的に写真や文字のスペースが増えたことと、記述がこれまでよりシンプルになったことで、記載される情報がより多くなっています。
勉強量は増えることになるわけですが、新しい教科書のほうが、学習効果が高いと思います。
これまでのものは、「コア」ではない情報にスポットが当てられたり、それほど重要ではない内容が冗長に記載してあったりして、「ぼんやり」した印象でした。
新しいものは、記述が簡潔になり、構成もコンパクトになったために、何が重要で、何を覚えるべきなのか、把握しやすくなっています。
特に、「第2章 世界の人々の生活と環境」が大きく変更されています。
まず、全27ページから全18ページに圧縮されています。
率直にいって、この単元は、中学生になったばかりの1年生の関心や興味をひくために、世界の特徴的な生活様式を取り上げているところで、地理の学習としては中身が「薄い」ところです。
また、各教科書で記載されている内容が違いすぎて、塾としては「扱い」に困っていた単元でもあります。
「シベリアでの生活」や「アンデス山脈での生活」を、だらだらと2学期まで取り上げるような授業がなくなると思えば、それは非常に生産的だと思います。
内容にもかなりの変更がありました。「暑い地域の暮らし」の例として取り上げられる国がツバルからインドネシアになり、また、スペインの生活が「温暖な地域の暮らし」の例として新しく加えられました。
読んでみると、スペインの「昼寝」の習慣である「シエスタ」が紹介されていました。
私はスペインに1か月ほと滞在したことがあるので、ちょっと懐かしくなりました。大きな都市ではそうでもないのですが、田舎に行くと、夏は夕方まで「シエスタ」ということで、お店なども全部閉まってしまい、困ることもありました。
さらに、この「第2章」では、詳細に「世界の気候」を説明するページが設けられています。
全体的に無駄な情報が削減されて、「地理」の学習にとって定番となる重要な情報が整理されて詳しく記述されています。
学習する「量」は増えると思いますが、アプローチの「質」があがるので、意欲のある生徒にとっては学習しやすい教科書になったと思います。
その他、注目されるのは「領土問題」の説明にページを大きく割いていることです。
地理の教科書だけではなく、歴史の教科書でも、「領土問題」は大きく扱われています。
この件に関して、できるだけ客観的に意見を述べるとすると、「相手国」が、自国の教科書に「領土問題」を載せないのであれば、日本も、教科書に載せないという選択を考えることができるのだろうと思います。日本だけが「領土問題」を教科書に載せてはならないという合理的な理由は見つかりません。どちらかといえば、挑発されているのは日本の側であって、「その結果」、反響的に「領土問題」はクローズアップされざるを得ないのだろうと考えます。
さて、東京書籍の歴史の教科書は、扱いが大きくなったり、記述が詳細になったりした箇所がいくつかみられました。
まず、「ギリシャ・ローマの文明」が「本文」で扱われるようになっています。
それから、平安期の「武士団の成長」の説明がより詳しくなりました。
そして、これまで記載のなかった江戸時代の新井白石の政治についての記述がみられるようになりました。
18世紀、19世紀の欧米の情勢も詳しく書かれています。
これまで記載のなかったドイツの政治家ビスマルクやロシア皇帝ピョートル1世も取り上げられています。
幕末期の説明も詳細になりました。新選組の説明コーナーも設けられています。
さらに、明治初期の外交政策、特に「国境と領土の確定」について、詳しい経過が述べられています。
また、戦間期の社会情勢の説明が詳しくなっています。張作霖爆殺事件などの記述も加えられています。
最後の章、節では、「日本社会の課題」として震災を受けた被災地の復興や防災対策等が取り上げられています。
(ivy 松村)