今年の都立高校受験で、受験棄権者が多かった高校を取り上げてみます。
(男女合同の募集を行っている単位制高校も、男女別に集計しました。)
棄権者 | ||||||
日比谷 | 男 | -94 | ||||
西 | 男 | -64 | ||||
戸山 | 男 | -64 | ||||
日比谷 | 女 | -49 | ||||
国際 | 女 | -39 | ||||
青山 | 男 | -38 | ||||
戸山 | 女 | -35 | ||||
新宿 | 男 | -33 | ||||
狛江 | 男 | -28 | ||||
青山 | 女 | -28 | ||||
西 | 女 | -23 | ||||
多摩科技 | 男 | -21 | ||||
国立 | 男 | -20 | ||||
駒場 | 男 | -19 | ||||
調布北 | 男 | -18 | ||||
調布南 | 男 | -18 | ||||
立川 | 男 | -18 | ||||
大泉 | 男 | -18 | ||||
新宿 | 女 | -17 | ||||
小金井北 | 男 | -16 | ||||
国分寺 | 男 | -16 | ||||
南平 | 男 | -14 | ||||
神代 | 男 | -14 | ||||
狛江 | 女 | -13 | ||||
国立 | 女 | -13 | ||||
国分寺 | 女 | -13 | ||||
町田 | 男 | -12 | ||||
小平 | 男 | -12 | ||||
調布南 | 女 | -12 | ||||
国際 | 男 | -12 | ||||
日野台 | 女 | -11 | ||||
小平南 | 男 | -11 | ||||
小平 | 女 | -10 | ||||
翔陽 | 計 | -10 | ||||
成瀬 | 男 | -10 | ||||
八王子東 | 男 | -10 | ||||
富士 | 男 | -10 | ||||
白鷗 | 男 | -10 |
やはり、上位校ほど棄権者は多くなっています。
気になるのは、大泉高校の男子です。棄権者の数は18名となっています。
2倍近い倍率の激戦になるとみられていた大泉の男子ですが、ふたを開けてみると、「受験倍率」は1.32、「実質倍率」は1.24となり、急激に倍率が下降しました。
出願者のうちの「実際の受験者」の割合が低かった高校を調べてみました。
「受験率」の低い高校の一覧です。
受験率 | 棄権者 | ||||||
大泉 | 男 | 69.5 | 18 | ||||
日比谷 | 男 | 71.9 | 94 | ||||
白鷗 | 男 | 73.7 | 10 | ||||
西 | 男 | 77.3 | 64 | ||||
富士 | 男 | 78.3 | 10 | ||||
大泉 | 女 | 79.5 | 8 | ||||
白鷗 | 女 | 81.8 | 6 | ||||
日比谷 | 女 | 81.9 | 49 | ||||
富士 | 女 | 82.5 | 7 | ||||
国際 | 男 | 82.6 | 12 | ||||
国際 | 女 | 82.7 | 39 | ||||
武蔵 | 男 | 83.9 | 9 | ||||
戸山 | 男 | 84.7 | 35 | ||||
小金井北 | 男 | 87.3 | 16 | ||||
西 | 女 | 87.5 | 23 | ||||
狛江 | 男 | 87.9 | 28 | ||||
青山 | 男 | 88.1 | 38 | ||||
多摩科技 | 女 | 88.5 | 6 | ||||
調布北 | 男 | 88.9 | 18 | ||||
調布南 | 女 | 88.9 | 9 | ||||
新宿 | 男 | 89.4 | 33 | ||||
私は、本年度の都立高校入試で、大泉高校の男子の「志願傾向」に非常に注目していましたが、最後になって、やっと実態がつかめたような気がします。
中学併設校は、全体的に「受験率」が低くなっています。
逆にいえば、「棄権率」が高いということです。
それが何を示しているのかといえば、これらの高校は、いまや、私立高校の併願校に位置づけられているということです。
私立の――おそらくは附属校を第1志望とする受験生の、最終的な「避難先」として受験パターンに組み込まれていたのでしょう。
なぜ、志願変更後に大泉の男子の倍率が高止まりしていたのか――それは、第1志望の私立高校に合格した受験生たちが、すでに受験を終えていたからです。
その時点で、彼らは大泉高校の受験を棄権することが確定したために、取下げを行う必要がなくなっていたのです。
あらためて見直してみると、昨年度の富士と白鷗の男子の倍率の推移に、中学併設校を「私立の併願先」として受験パターンに組み込む流れが、兆候として表れていました。
今年は、「内申点の換算方法の変更」という「シビアな問題」が横たわっていたために、内申点に乏しい受験生の「併願戦略」がより切実なものとなりました。
それが、大泉の男子の受験で、先鋭的に顕在化したように感じます。
つまり、西や戸山を受験するには「厳しい」内申点の受験生が、第1志望を私立に切り替え、中学併設校を「おさえ」に使う、という受験パターンを組むわけです。
こうした状況から、やはり中学併設校の高校募集のありかたについて考えてしまいます。
ただ、私の考えは少し変わってきました。
少し前に、このブログに、中学併設校は高校募集を停止したほうがいいのではないかと書きましたが、それにも問題がありそうです。
もし、高校募集を失くしてしまうと、都立高校の収容力が大きく低下してしまいます。
もちろん、「入口」が中学受検であろうと、あるいは高校受験であろうと、同学年の生徒の収容人数が大きく変わるわけではありませんが、現在の都立中学受検の「業界の状況」を考えると、中受の「パイ」を増やすのは「健全ではない」ように思います。
(ivy 松村)