平成28年度の都立高校入試の社会ですが、個人的には「易化」したように思います。
しかし、もしかすると、私が「社会」を教えるときに、特に「ポイント」にしている内容が多く出題されたためにそう感じるのかもしれません。
社会という教科において、重要とされている知識や基本的な考え方をベースにした問題が多く、非常に「正統的」だと思いました。
昨年度4題だされた記述問題が、本年度では3題となっています。
他の教科と比べて出題の形式に大きな変化はありませんが、難度は下がっている印象です。
昨年度の大問5「公民」は、かなり厳しい問題が並びました。
近年の都立の社会は、どれかの大問に、厳しい問いが集められた「山場」があるのですが、今年にはそれがないように感じます。
気になった問題は、大問3の問1でしょうか。
「第二次世界大戦前から鉄鋼業」=「八幡製鉄所」で福岡県であるとわかりますが、広島県を選んでしまった受験生も多くいたと思います。
また、大問6の問2も、正答率が低くなりそうな問題です。
「環境問題」は非常に重要なトピックなので、現代史の中で「環境会議」の開催、公害や環境に関連する法律の整備、「政府機関」の設置などがいつ行われたのかを確認しておく必要があるのですが、環境庁をチェックしていなかった受験生はかなり多くいたと思います。
(「環境庁」の設置については、過去に出題されたこともあります。)
ところで、記述問題に関して、また、認識を変えなくていけなくなりました。
先日、都立高校の入試に「採点基準」が存在しているということをこのブログに書きました。
昨年度、東京都の教育委員会が、都立高校入試における記述問題の「部分点の基準」をホームページで公表していたので、常識的に考えて、すべての高校で統一の基準で採点されることになったのだと思いました。
個人的には、にわかには信じがたい話だとは思いましたが、なにしろ、そう書いてあるのです。
本日、本年度の記述問題の「採点」の方針についてホームページで確認してみると、「表現」が大きく変わっていました。
各学校で「部分点の基準」を決めて採点するということです。
まあ、その方が現実的ですよね。
ある組織の体裁としての「形」や「建前」と、「執行」や「運営」といった実務の間には、ほぼ確実に「ギャップ」が生じるので、本来ならば、組織として「外部」に「説明」をしなければならない場合には、「リスク管理」として「あいまいな」表現を用いるのが「鉄則」です。
それは、「はぐらかし」といったような幼稚な行為ではなく、ある意味で社会的な「責任」として行われるものです。
個人的には、「採点ミス」をなくすように、という「圧」が、想像を絶するほどに強かったのだろうと思っています。
石原さんが都知事をされている間に、都立高校の存在感は非常に大きくなりました。
もしかすると、それで非常に困っていた人たちが、ようやく大きな声を出せるようになってきたということなのかもしれません。
「採点ミス」を根絶することが「本当の目的」ではないと、だんだんと思い至る人も増えていくのかもしれないという気がします。
それにしても、都立高校入試が終わって、まだ1日と経っていません。
取り急ぎ確認したところですので、記入ミスや間違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
詳しい情報が入ってきてから、今後の都立高校の入試についてじっくりと考えてみたいと思います。
(ivy 松村)