立川高校と八王子東高校の推薦入試について書きます。
立川は、集団討論・個人面接の「配点」が200点、小論文が300点です。
集団討論・個人面接の得点分布を見ると、高得点を取っている受験生が多いことがわかります。
190点以上が11人、180~190点以上が8人、170~179点以上が10人います。
立川高校は、積極的に発言するタイプの生徒が集まる学校です。
また、そういった生徒を評価する校風があります。
「積極的」というのは、堂々と「自分の」意見を述べるということです。
(当たり前ですが、それは「独自の」という意味ではありません。)
そして、立川の集団討論のテーマは、「社会問題」に寄っています。
社会的なニュースに関心を持っている生徒にとっては、環境問題や国際関係といったテーマは発言しやすいものだと思います。
逆に、新聞などを読む習慣のない受験生は苦しくなると思います。
個人面接では、過去に、「思いがけない質問」をされた、という生徒がいました。
これは、個人的な印象も含めた上での意見ですが、立川高校は、「型」にはまった「お利口さん」ではなく、物怖じすることなく、機敏にものごとに対処できるような人物が評価されるように感じます。
小論文は「配点」が高く設定されていますが、得点は抑えられています。
300点満点となっていますが、150~160あたりが得点分布の「山」になっています。
昨年度は240点以上を取った生徒が1人しかいません。
小論文で「突き抜けた」ものが書ければ、他を大きく引き離すことができます。
小論文では、グラフや表などの資料の「読み取り」の訓練が必須です。
また、近年では、人文科学系の題材がつかわれる傾向が出てきました。
「コミュニケーション」に関して、考えをまとめておくといいかもしれません。
また、時間があれば哲学・心理学・言語学などのトピックについてまとめておくと役に立つかもしれません。
あと、立川高校の推薦入試を受ける受験生は、必ず、「推薦合格のみなさまへ」を受験前に読んでおきましょう。
八王子東も、集団討論・個人面接の「配点」が200点、小論文が300点です。
八王子東は、どちらかというと落ち着いていて、堅実で、そつなくものごとをこなしていくようなタイプの生徒が集まる印象があります。
(通っている生徒からすると、「そんなわけはない!」とツっこまれそうですが。)
集団討論・個人面接の得点分布を見ると、110~139点がかなり高い「山」になっています。
もしかすると、「典型的」なタイプの受験生がこの辺りに集中するのかもしれません。
この得点域にいる限り、合格は厳しくなります。
推薦入試で求められている人材は、どちらかというと「個性」をもった生徒だと思います。
データを見る限り、八王子東の受験生は集団討論・個人面接で「苦戦」をしているように見受けられますが、逆にいえば、「ここ」で点数を固めることができれば、かなり優位になります。
集団討論のテーマには、コミュニケーションやマナー、モラルといった題材が使われる傾向があります。
こうした内容は、中学生にとっては、身近でありながら漠然としたものなので、討論しづらいと思います。
大きな「ヒント」を述べるならば、「公共性」というものを、八王子東は重視しています。
小論文の得点分布は、210~224点の帯域に密集しています。
ある意味で、小論文では「差」がつきにくいといえます。
小論文対策として、やはり、グラフ、表などの数値の「読み取り」の訓練は必須です。
そして、「学び」「人生」といった(普遍的価値を持つ)抽象的な概念について、思考を巡らせる力を測ろうとしているように思います。
おそらく、「小論文」から逸脱して、身近な「体験」を書き連ねた「作文」を仕上げてしまう受験生が多くいるはずです。
そういった解答は、点数が上がってこないと思います。
そして、それが理由で、小論文の得点が「だんご」になっているのだと思います。
調査書が「厳しい」受験生にとっては、小論文が「鍵」になるかもしれません。
両校だけでなく、都立高校の推薦入試を受ける生徒が気にかけておかなければならないのは、「傾向の変化」です。
集団討論が導入されて4年目です。
入試問題の形式や傾向は「3年」を単位にして変わることが多いので、4年目の本年度に、新しい出題の形が試される可能性があります。
やはり、小論文も、3年程度を目安として、内容が大きく変わることがあります。
受験生は、もちろん、過去問をはじめとする「情報」をもとに受験対策を行っていくものですが、都立の推薦入試の場合は、より包括的で柔軟な準備が必要です。
同レベルの別の高校の問題なども見ておくとよいかもしれません。
さて、実は、本年度はこの塾に都立高校の推薦入試を受ける生徒はいません。
にもかかわらず、忙しくてたまらないこの時期に、このような文章を書いているわけです。
(「だからこそ」書ける、ともいえますが。)
これは、応援のつもりです。
直接的ではなくても。
(ivy 松村)