推薦入試を受ける受験生は、調査書の点数の「差」がどれくらい有利になるのか、あるいは不利になるのか、気になるはずです。
調査書の「満点」を450点としている高校の場合、「オール5」の生徒の調査書の得点は450点になります。
また、たとえば評定が40の受験生は400点となりますから、その「差」は50点ということになります。
結論からいえば、評定の5の「差」、つまり、50点分を埋めるのは、相当大変です。
青山高校は、本年度の推薦入試では、男子7.21倍、女子9.62倍と、群を抜いた高倍率となっています。
昨年度も、男子5.19倍、女子8.27倍の激戦でした。
男女計207人の受験者のうち、31人が合格を手にしました。
最も人気の高い都立高校のひとつである青山は、「オール5」あるいはそれに近い評定をもった受験生が推薦入試に挑みます。
本年度は、募集人数が減り、27席を226人が争う「超激戦」です。
おそらく、評定45~43の受験生は30人を超えるのではないかと思います。50人を超えていたとしても驚きません。
現実的に、評定40の生徒が「逆転」をしようとすれば、集団討論・個人面接よりも「配点」の高い小論文で「勝負」しなければなりません。
おそらく、昨年の青山高校の推薦入試の小論文の平均点は、170~180近辺になると思います。
それでは、「平均」よりも「50点」多く点数を取れば合格に近づけるのでしょうか。
いえ、それでもまだ厳しいでしょう。
なぜなら、「平均」よりも50点多い得点にあたると考えられる、225点以上を取った受験生が「35人」いるからです。
つまり、残りの点数が、この35人のうちの数名よりも上でなければ、「合格圏」に達することができないわけです。
「青山」の小論文で、他の受験生を圧倒する得点力を持った受験生を、集団討論・個人面接の点数で上回らなければなりません。
また、その後背にいるかもしれない「オール5」の受験生が、「平均」の170〜180点よりも上の点数をとっているのであれば、依然として総得点はリードされたままであるということになります。
現実的に、評定40の生徒が合格を手にするのは、かなり過酷であるといわざるを得ません。
このような苛烈な選抜となる青山の推薦入試は、「オール5」であっても、全く余裕を持つことはできません。
手元にある資料によれば、「オール5」の受験生が数人不合格になっています。
調査書点が十分でない受験生は「大逆転」を目指さなればなりません。
一方、十分な調査書点を持っている受験生は、必死で「逃げ切り」を考えなければなりません。
当たり前の話ですが、倍率が2を越える受験では、「平均」であっては合格することはできないわけです。
特に、上位校の推薦入試では、周りもハイレベルな準備をしてくるでしょう。
他の受験生と「同じ出来」であっては、合格を引き寄せることはできないのです。
さて、この文章は、推薦入試を受ける受験生への「応援」のつもりで書いています。
しかし、「厳しい現実」をつきつけられると、「不安になった、ひどい!」というリアクションをとる人がいます。
はっきりいいますが、この程度の情報で不安になるような人は、都立高校の推薦入試は、「はじめから無理」だったのです。
どうして、そんなにももろいメンタリティーで、集団討論や個人面接が課せられる受験をしようと思ったのでしょう。
覚悟を持って「いばら」の中を進む勇気を持った人にしか、道を拓くことはできないと思います。
当然、歩みを止めない人は、「最後には」必ずゴールにたどり着くでしょう。
(ivy 松村)