暗記について、広く浸透している一般的な誤解があります。
暗記は、言葉を「詰め込む」作業であるという認識です。
押し入れに物を収納するときのことを考えてみましょう。
片端から物を突っ込み、ぎゅうぎゅう押し込んで、たくさん入ってよかったね、ということにはならないでしょう。
なるべくたくさん物が入ればいいというものではありません。当然のことながら、使いたいと思うときに、使いたいと思う物を取り出せなければ意味がありません。取り出せなければ、それは失われてしまったことと同義です。所有しているはずの物を、新しく買い求めなければならないとしたら、本当にばかげています。
記憶にも同じことがいえます。思い出せなければ、忘れてしまったことと同義なのです。「暗記した」というのは、必要なときに、必要な情報や知識を脳から呼び出すことができる状態のことです。
テストの後で、答えを知って、あぁ、そうか!と叫んで、がっくり肩を落とした経験は、誰にもあるものだと思います。それは、記憶しているけれど、その情報を取り出すことができなかったということなのです。
覚えなければならないときに、言葉を脳に刻みこもうと努力するだけでは効果的な暗記はできません。情報や知識を、後で必要なときに脳から取り出せるように、整理しながら収容することが大切なのです。
押し入れに何でもかんでも詰め込んで、いちいち中身をひっかき出して探していたら、毎回大変な労力が必要になります。そうならないために、ふつうは、たくさんの物を収めるときには、冬服、スポーツ用品、玩具、などをボックスに分け入れて収納します。
同じように、暗記も、覚える事柄を整理しながら脳に収容していくべきなのです。そうすることで、必要なときに円滑に記憶を取り出すことができるようになるのです。
(ivy 松村)