都立高校の「志望予定調査」の結果で、気になるのが町田高校の男子です。
本年度の町田の男子の志望予定者の倍率は、「1.19」と大きく低下しています。
町田高校を含め、多摩地域の都立進学校の志望動向に同様の変化が見られます。
すなわち、男子の志望者の減少です。
本年度の「志望予定調査」の結果のデータを見てみましょう。
28年度 | 27年度 | |||||||||||
増減 | 志望者 | 募集 | 倍率 | 志望者 | 募集 | 倍率 | ||||||
町田 | 男 | -48 | 197 | 166 | 1.19 | 245 | 166 | 1.48 | ||||
女 | -10 | 219 | 151 | 1.45 | 229 | 151 | 1.52 | |||||
武蔵野北 | 男 | -42 | 154 | 124 | 1.24 | 196 | 124 | 1.58 | ||||
女 | 18 | 199 | 113 | 1.76 | 181 | 113 | 1.60 | |||||
小金井北 | 男 | -45 | 154 | 124 | 1.24 | 199 | 124 | 1.60 | ||||
女 | 9 | 190 | 113 | 1.68 | 181 | 113 | 1.60 | |||||
調布北 | 男 | -31 | 172 | 124 | 1.39 | 203 | 124 | 1.64 | ||||
女 | -7 | 171 | 112 | 1.53 | 178 | 112 | 1.59 | |||||
日野台 | 男 | 44 | 229 | 158 | 1.45 | 185 | 158 | 1.17 | ||||
女 | -5 | 175 | 144 | 1.22 | 180 | 144 | 1.25 | |||||
南平 | 男 | -51 | 223 | 166 | 1.34 | 274 | 166 | 1.65 | ||||
女 | 17 | 226 | 151 | 1.50 | 209 | 151 | 1.38 | |||||
昭和 | 男 | 45 | 325 | 166 | 1.96 | 280 | 166 | 1.69 | ||||
女 | 52 | 325 | 150 | 2.17 | 273 | 150 | 1.82 |
町田、武蔵野北、調布北、小金井北の男子の志望者数が、前年に比べて大きく減っていることがわかります。
町田の男子は「-48」、武蔵野北は「-42」、小金井北は「-45」、調布北は「-31」です。
ここに挙げた高校群は、よく知られているように、グループ作成校を追いかける、共通問題の最上位校です。
2、3年前に、これらの高校は人気のピークを迎えました。
3年前の平成25年度の「志望予定調査」では、町田の男子の倍率は「1.69」、武蔵野北は「2.30」、小金井北は「2.12」です。小金井北は次年度にさらに倍率を「2.32」に上昇させました。
武蔵野北、小金井北の両校は、本年度の倍率はともに「1.24」となっており、ピーク時から倍率を激減させています。
このような倍率の急激な変化は確かにインパクトを感じさせますが、少し注意が必要です。
武蔵野北、小金井北、そして調布北もそうですが、これらの学校は募集人数が少ないため、倍率が乱高下しやすいのです。
この3校の男子の募集人数は124人ですが、たとえば、町田、南平、日野台などは166人の募集人数ですから、これらの高校に比べて4分の1ほど募集人数が少ないわけです。
町田については、少し注釈が必要かもしれません。
町田の募集人数は本年度、昨年度ともに166人となっていますが、それは昨年に募集人数を増やしたからです。
それが、この1、2年、町田高校の倍率が抑制されている原因のひとつになっています。
募集人数の少なさと人気の高まりを受けて、武蔵野北、小金井北の倍率は一時高騰しました。
その反動で、昨年度は調布北などに志望者が流れました。
本年度は特に、激戦を避けようという受験生の心理が強く働いているので、共通問題の最上位校が志望予定者を減らしています。
これらの高校から、日野台、昭和、多摩科技などへ志望予定者が「流出」しています。
日野台の男子は「+44」、昭和は「+45」、多摩科技は男女計「+53」です。
(多摩科技の場合、やはり男子の割合が高くなっているはずです。)
もしかすると、意外なことに、町田からは成瀬に「流出」が起こっているかもしれません。
成瀬の男子は「+49」です。
自分の「本意」を打ち明けることが苦手な生徒で、たとえば、本当は町田を受験したいと思っていても、それを隠して成瀬を申告しているようなケースもあるかもしれません。
まあ、それは、そんな生徒もいるかもしれないという話にすぎませんが、いずれにしても、町田の男子の倍率は、「反発」が起こらなければおかしい数値です。
ですから、おそらく今後上昇すると思います。
女子は、昭和、南平、狛江などが志望予定者を増やしています。
昭和の女子は「+45」、南平は「+17」、狛江は「+26」です。
狛江高校は、志望予定者の「流入」に加えて、本年度募集人数を減らしていることが原因で女子の倍率が大きく上昇しています。
実は、女子は、もう1段階降りたレベルで、志望者の「流出」と「流入」が活発にみられます。
興味深いことに、女子の方が、男子に比べて「安全志向」が希薄です。
逆にいえば、本年度は、男子の「安全志向」が非常に強く打ち出されています。
(ivy 松村)