明日から都立高校の推薦入試が始まります。
1日で終わらせる高校もありますが、基本的には2日かけて行われます。
1日目は集団討論と作文、2日目は面接を行う高校が多いようです。
面接の待ち時間が長くならないための配慮ですね。
1日目の終わりに指示があり、2日目は面接の時間に合わせて集合するようになっています。
ivyでは、都立高校推薦入試対策に力を入れて指導してきました。
作文指導・添削、個人面接練習・指導、集団討論演習・指導など、合計で15時間を超える時間を費やして対策を行いました。
これだけ多くの時間をかけて都立推薦対策を行った生徒は他にはないと思います。
後は、生徒のみなさんが、今日までの対策を通して培ったこと、身につけたことを出し切ってほしいと願うのみです。
塾の中には、都立の推薦入試は「受かったらラッキーだ」と教え、とにかく一般受験の勉強をするように指導するところもあるようです。
それも、ひとつの考え方なのかもしれません。
実際、都立の推薦は、内申+「素質」が大きく結果にあらわれる入試です。
「表現すること」「伝えること」が苦手な生徒が、短期間でその「素質」を身につけることはなかなか厳しいものです。
もちろん、私たち人間は、訓練や練習を通して能力を伸ばしていくことができます。
苦手なことを「一生苦手」とするかどうかは、自分の取り組み次第です。
時間をかけて訓練を積んでいけば、考えをまとめて文章を書いたり、論理的に意見を述べたり、相手の発言の趣旨をくみ取って応答したりすることができるようになります。
しかし、受験生の貴重な時間を悠長に使うことはできません。
時間のない中で、効率的ではない対策に時間をとるくらいなら、はじめから割り切って、都立推薦対策をしない、という選択もあるのでしょう。また、労力や経費の面での問題もあるのでしょう。
ですから「推薦入試に費やす時間を少なくし、その分を勉強に使うようにすれば、それだけ合格の可能性が増すのだ」というようなことをいう人がいます。そういう人は、究極的には推薦入試を受けることも時間の浪費であると考えます。しかし、本当にそうでしょうか。
それは、時間を消耗品としてとらえる発想です。
一面では正しいですが、発想が硬直していると思います。
人間の成長は時間には比例しません。
時間を節約したからといって、そのことが学力を伸ばすことに直接つながることはありません。
人を成長させるものは、経験と感動と発見です。
毎年推薦入試対策を行っていますが、集団討論が導入されて以降、特にそのことを強く感じます。
短期間でこれほど人は成長するのか、と思わされるのです。
私は都立の推薦入試はよいものだと思っています。
塾の教師として何をすべきなのか、ということも明確にわかってきました。
出来れば今後、全員に受けてほしいと思っているくらいです。
間違いなく、その経験が財産になります。
一般入試の受験勉強との兼ね合いの中で、できる限りの推薦入試対策を行いました。授業前、授業後、それから授業のない日、面接や討論で「ダメ出し」を受けまくって、作文を何度も書き直しました。
それでも可能性は、なかなか厳しいと思っています。
その理由も生徒のみなさんに伝えました。
そして、そのうえで、それでも全力で推薦入試対策に取り組むことの意義を伝えました。
「あきらめ」と「覚悟」は違います。
今日は、最後の推薦入試対策特訓でした。
最後の討論演習で、一人ひとりの可能性を目にしました。
その輝きに、魂が震えました。
都立高校推薦入試は、高校受験全体の中の一部のパートであると同時に、ゴールへの扉でもあります。
私たちは、ここでゴールするのだという意志を持って準備してきました。
そのために使った時間も労力も、無駄になることはありません。
人生においても、受験においても。
もし、その扉をこじ開け、志望校の一員になることができたら、いっしょに喜びを分かち合いましょう。
(ivy 松村)