「ph」は「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」=[f]の発音になります。
勘のするどい人はもうすでに気づいているかもしれませんが、やはり古代ギリシア語に2つの「パピプペポ」があったわけです。
古代ギリシア語の語彙がラテン語に移植される際に、1つが「p」になり、もう1つが「ph」になりました。
やがて、「ph」の発音は[f]になりました。
「ph」を含む古代ギリシア語、ラテン語由来の語彙をみてみましょう
pharmacy「ファーマシ」(薬屋)
phantom「ファントム」(幽霊)
philosophy「フィロサフィ」(哲学)
physics「フィジックス」(物理学)
phase「フェイズ」(段階)
phenomenon「フェノメノン」(現象)
photograph「フォウトグラフ」(写真)
phrase「フレイズ」(句)
atmosphere「アトモスフィア」(大気)
earphone「イヤフォン」(イヤホン)
elephant「エレファント」(ゾウ)
graph「グラフ」(図表)
sapphire「サファイア」(サファイア)
symphony「シンフォニ」(交響曲)
typhoon「タイフーン」(台風)
telephone「テレフォウン」(電話)
dolphin「ドルフィン」(イルカ)
hieroglyph「ハイエログリフ」(象形文字)
biography「バイオグラフィ」(伝記)
pamphlet「パンフレット」(パンフレット)
metaphor「メタファー」(隠喩)
数は少ないですが、「rh」もあります。
やはり、古代ギリシア、ラテン語由来の語彙です。
これは、単純に「ラリルレロ」=[r]の発音です。
したがって、「h」が無音化されていると考えることができます。
rhyme「ライム」(韻)
rhapsody「ラプソディ」(狂詩曲)
rhythm「リズム」(リズム)
rhetoric「レトリック」(修辞)
まったくどうでもいい個人的な話ですが、私は「ラプソディ」という言葉を、わりと気に入っていて、けっこう暗喩的に使うことがあります。
「ラプソディ」は、日本語で「狂詩曲」と訳されます。
それで、「教師」という意味を含ませたり→「狂師」というような意味合いに展開させたりして、「ラプソディ」にかけて言葉遊びをすることがあります。
その他、英語の代表的な「二重字」に、「sh」があります。
「sh」は、「シャ・シ・シュ・シェ・ショ」=[ʃ]を表します。
she「シー」(彼女は)
sheep「シープ」(羊)
shade「シェイド」(陰)
shape「シェイプ」(形)
ship「シップ」(船)
shout「シャウト」(叫ぶ)
shirt「シャート」(シャツ)
shut「シャット」(閉める)
shampoo「シャンプー」(シャンプー)
shoe「シュー」(靴)
should「シュド」(~するべきである)
shrine「シュライン」(寺院)
show「ショウ」(見せる)
shoulder「ショウルダー」(肩)
short「ショート」(短い)
shock「ショック」(衝撃)
shop「ショップ」(店)
語末に「sh」のある単語も多くあります。
wish「ウィシュ」(望む)
crush「クラシュ」(押しつぶす)
Spanish「スパニシュ」(スペイン人)
dish「ディシュ」(皿)
foolish「フーリシュ」(愚かな)
fish「フィシュ」(魚)
flash「フラシュ」(きらめき)
「sh」以外で、[ʃ]の音が現れる単語もたくさんあるので注意が必要です。
フランス語由来の「ch」も[ʃ]と発音します。
machine「マシーン:məʃíːn」(機会)
また、以下のような単語:
station「ステイション:stéiʃən」(駅)
information「インファメイション」:ìnfərméiʃən」(情報)
「tion」は「ション」と読みますね。
さらに、以下のような単語:
ocean「オウシュン:óuʃn」(海)
sugar「シュガー:ʃúgər」(砂糖)
sure「シュア:ʃúər」(確かに)
「h」が含まれる「二重字シリーズ」の最後は、「wh」です。
「wh」は、かつては「hw」と綴られていました。
したがって、「what」などは、「hwat」=「フワット」のような発音だったわけです。
現在は、「what」の「h」は無音化されているので、「ワット」ですね。
今でもたまに「フワット」という人がいます。
これは「フ」→「ワ」という発音ですから、昔の「h」→「w」が踏襲されているといえます。
以下の語彙は、一般的には、「h」が無音化されています。
which「ウィッチ」(どちら)
where「ウェアー」(どこで)
when「ウェン」(いつ)
why「ワイ」(なぜ)
what「ワット」(何)
wheel「ウィール」(車輪)
whisper「ウィスパー」(ささやく)
whistle「ウィスル」(口笛を吹く)
whale「ウェイル」(クジラ)
white「ワイト」(白い)
日本語のカタカナ表記では、「ホ」が置かれることがありますが、そのまま発音しても英語話者にはほとんど通じません。
「wheel」→「ホイール」
「whale」→「ホエール」
「whistle」→「ホイッスル」
「white」→「ホワイト」
以下の単語は、逆に、「w」が無音化されています。
who「フー」(誰)
whom「フーム」(誰に・誰を)
whose「フーズ」(誰の)
whole「ホール」(全体の)
(ivy 松村)