本年度の入試の出題構成について確認しましょう。
「グループ作成」、「自校作成」の高校は、「出題の方針」をもとに、入試に備える必要があります。
日比谷高校の「出題の基本方針」の「各問のねらい」を見てみましょう。
□1 漢字を正しく読む能力をみる。
□2 漢字を正しく書く能力をみる。
□3 文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。
□4 説明的な文章を読み、叙述や文脈などに即して、語句や文の意味、文章の構成及び要旨などを正しく読み取る能力をみるとともに、考えが正確に伝わるように根拠を明らかにしながら、自分の意見を論理的に表現する能力などをみる。
□5 古典に関する文章を読み、古典並びに現代の語句及び文章の内容についての理解などをみる。
日比谷高校の国語の漢字の出題は、「グループ作成以前」とその後で構成が変わっています。
以前は「文章題からの引用」でした。私立の入試でよくみられるパターンのもので、文章中からいくつかの語句が取り上げられ、その漢字の「読み」や「書き」を問われるという形式でした。
「グループ作成」となってからは他校と「足並み」をそろえる必要から、大問1が「漢字の読み」、大問2が「漢字の書き取り」という独立した問題構成となりました。
「自校作成」に回帰した本年はどうなるのか、それは、「出題の方針」に示されています。
本年は、「グループ作成」と同じ構成になることがわかります。
「出題の方針」を参照せずに、暗中模索におちいっている受験生がいたら、説明会で入手したものを確認するとよいと思います。
さて、本年度の国語の入試を予測するうえで、「記述」がどうなるのか、気になっている人も多いと思います。
各校の大問3の「出題の方針」を比較してみましょう。
日比谷「文学的な文章を読み、叙述や描写などに即して、場面、登場人物の様子、心情などを正しく理解する能力、表現する能力などをみる。」
戸山「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力及び読み取った内容を適切にまとめ,表現する能力をみる。」
国立「文学的な文章を読み,叙述や描写などに即して,場面,登場人物の様子,心情などを正しく理解する能力をみる。」
日比谷や戸山は大問3で記述問題が出題されるでしょう。
一方、国立は記述問題が出題されないでしょう。
また、いずれの高校も、大問5で「記述」は出題されないでしょう。
受験生向けの説明会や塾向けの説明会で、本年度の入試は「グループ作成と同じような出題」になると説明していた高校があったようです。
それで、たとえば、昨年と同様に「記述」は出題されないと高をくくっていると、当日に驚くことになるかもしれません。
その高校の「出題の方針」を見てみると、ちょっと違った出題になるということがみえてきます。
日比谷は、英語の「出題の方針」の「各問のねらい」も確認しておく必要があります。
□1 自然な口調で話される英語を聞いて、その具体的な内容や大切な部分を把握したり、聞き取った事柄について英語で表現したりする能力をみる。
□2 まとまりのある対話文を読み、その流れや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力をみる。
□3 物語文を読み、そのあらすじや大切な部分を把握したり、読み取った事柄などについて英語で表現したりする能力などをみる。
4 短い対話文を読み、読み取った事柄について、異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力をみる。
大問1は、全校共通のリスニングです。
大問2~4が独自問題ですが、それぞれ大問2は「長大な対話文」、大問3は「物語文」、大問4は「短い対話文」の問題であることがわかります。
したがって、「説明文」ではなく、「対話文」や「物語文」を読む「準備」をしておかなければなりません。
また、すべての大問で「英語で解答する設問」があることがわかります。
それは「抜き出し」の問題なのかもしれませんが、「英語で解答を記述する」問題である可能性が高いと思います。
注目すべきは、大問4で「異なる2つの意見を適切に英語で表現する能力」を検査されるという点です。
ここでは、2つの意見が交換される「対話文」が示され、受験生は、「2つの立場」に立ってそれぞれの意見を英語で要約する、あるいは主張を代理する、というような英作文を課せられるのかもしれません。
他塾の方も見ているでしょうから、このへんで。
都立入試に挑む受験生には、本年度の入試の「概要」を伝えています。
みなさんは、これまでの受験勉強、そして私立入試を通して、大きく成長しています。
私が、こんこんと伝えるまでもなく、一人ひとりが自分で「入試」をいうものを理解し、取るべき行動を判断することができるようになっています。
当日、思いもよらない問題が出ても、落ち着いて対処できるだけの力をつけています。
自信を持ってください。
みなさんといっしょに勉強してきた日々が、すでになつかしく思えます。
もう、「授業」の必要もありません。
私は、採点と問題の準備に追われる日々です。
後は、リスニングの「スタート」のボタンを押す係。
そして、くだらない質問に対して、くだらない受け答えをする人。
月日が過ぎて、あのくだらないやり取りの断片が、みなさんの記憶にかすかに残っていて、あるとき、ふと思い出して、ちょっとだけ愉快な気持ちになってくれたら、うれしく思います。
受験という「航海」の果てに、英作とリスニング、作文と漢字に立ち返ってきました。
これらが「最後のピース」です。
あと少し。がんばろう。
(ivy 松村)