都立中等教育学校と都立中高一貫校の大学受験の実績を調べてみました。
小石川、桜修館、南多摩、立川国際、三鷹の5校は、高校の募集を行わない6年制の中等教育学校、つまり「一貫校」です。
一方、白鷗、両国、富士、大泉、武蔵の5校は、高校からの募集を行う「中学併設校」ということになります。
両者は、厳密には、別の形態の学校ということになりますが、「中学入試」を行う学校群として、一般的に「都立中」と称されています。
では、最初に、「現役」の「東京一工」の合格者と「合格率」です。
現役 | 卒業生数 | 東大 | 京大 | 一橋 | 東工 | 計 | 合格率 | |
小石川 | 154 | 11 | 6 | 5 | 5 | 27 | 17.5 | |
南多摩 | 146 | 3 | 0 | 4 | 4 | 11 | 7.5 | |
桜修館 | 155 | 2 | 1 | 6 | 2 | 11 | 7.1 | |
武蔵 | 192 | 5 | 1 | 3 | 2 | 11 | 5.7 | |
大泉 | 192 | 6 | 2 | 2 | 1 | 11 | 5.7 | |
両国 | 186 | 3 | 0 | 5 | 2 | 10 | 5.4 | |
三鷹 | 152 | 2 | 0 | 2 | 0 | 4 | 2.6 | |
白鷗 | 226 | 0 | 1 | 2 | 2 | 5 | 2.2 | |
富士 | 191 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | 2.1 | |
立川国際 | 145 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.7 |
次に、浪人も合わせた「合格人数」と「合格率」です。
合格人数 | 東大 | 京大 | 一橋 | 東工 | 計 | 合格率 | |
小石川 | 14 | 6 | 5 | 6 | 31 | 20.1 | |
武蔵 | 6 | 2 | 3 | 4 | 15 | 7.8 | |
大泉 | 6 | 4 | 3 | 2 | 15 | 7.8 | |
桜修館 | 2 | 2 | 6 | 2 | 12 | 7.7 | |
南多摩 | 3 | 0 | 4 | 4 | 11 | 7.5 | |
両国 | 4 | 0 | 5 | 2 | 11 | 5.9 | |
富士 | 0 | 0 | 3 | 3 | 6 | 3.1 | |
立川国際 | 1 | 2 | 1 | 0 | 4 | 2.8 | |
三鷹 | 2 | 0 | 2 | 0 | 4 | 2.6 | |
白鷗 | 0 | 1 | 2 | 2 | 5 | 2.2 |
小石川が他を圧倒しています。
小石川は、浪人生も含めると、学年の約20パーセントが最難関大学群である「東京一工」に合格しているという計算になります。
小石川を追う武蔵は、昨年までは堅調に実績を伸長させましたが、今年は、一転、伸び悩みました。
本年度の都立中入試は、武蔵はちょっと読みづらくなったように思います。
難関私立中との併願を見直す受験生が出てくるかもしれません。
また、志願者の減少傾向に歯止めがかかるのかどうか。ちょっとこれまでとは違った状況が生まれるかもしれません。
また、立川国際も、昨年の躍進から一転、低迷しています。
さらに、「旧帝大+一工」、「難関国立大」「国公立大」の合格状況を確認してみましょう。
まずは、「現役」です。
現役 | 旧帝
一工 計 |
旧帝
一工 率 |
難関
国立 計 |
難関
国立 率 |
国公立
計 |
国公立
率 |
|
小石川 | 31 | 20.1 | 49 | 31.8 | 62 | 40.3 | |
武蔵 | 15 | 7.8 | 30 | 15.6 | 57 | 29.7 | |
両国 | 13 | 7.0 | 36 | 19.4 | 54 | 29.0 | |
南多摩 | 15 | 10.3 | 18 | 12.3 | 41 | 28.1 | |
大泉 | 14 | 7.3 | 27 | 14.1 | 54 | 28.1 | |
三鷹 | 6 | 3.9 | 19 | 12.5 | 39 | 25.7 | |
桜修館 | 15 | 9.7 | 26 | 16.8 | 39 | 25.2 | |
立川国際 | 2 | 1.4 | 18 | 12.4 | 35 | 24.1 | |
白鷗 | 5 | 2.2 | 28 | 12.4 | 50 | 22.1 | |
富士 | 4 | 2.1 | 14 | 7.3 | 38 | 19.9 |
次に、浪人生の合格者を加えた合格状況です。
合格人数 | 旧帝
一工 計 |
旧帝
一工 率 |
難関
国立 計 |
難関
国立 率 |
国公立
計 |
国公立
率 |
|
小石川 | 37 | 24.0 | 58 | 37.7 | 83 | 53.9 | |
武蔵 | 21 | 10.9 | 37 | 19.3 | 73 | 38.0 | |
両国 | 14 | 7.5 | 42 | 22.6 | 66 | 35.5 | |
大泉 | 18 | 9.4 | 35 | 18.2 | 64 | 33.3 | |
三鷹 | 7 | 4.6 | 23 | 15.1 | 50 | 32.9 | |
桜修館 | 16 | 10.3 | 29 | 18.7 | 50 | 32.3 | |
南多摩 | 16 | 11.0 | 21 | 14.4 | 47 | 32.2 | |
立川国際 | 6 | 4.1 | 23 | 15.9 | 44 | 30.3 | |
富士 | 6 | 3.1 | 18 | 9.4 | 52 | 27.2 | |
白鷗 | 5 | 2.2 | 31 | 13.7 | 57 | 25.2 |
武蔵の過去3年間の合格状況を確認して見ましょう。
まずは、「現役」です。
武蔵現役 | 卒業生数 | 東京
一工 計 |
東京
一工 率 |
旧帝
一工 計 |
旧帝
一工 率 |
難関
国立 計 |
難関
国立 率 |
国公立
計 |
国公立
率 |
||
29年度 | 192 | 11 | 5.7 | 15 | 7.8 | 30 | 15.6 | 57 | 29.7 | ||
28年度 | 197 | 18 | 9.1 | 28 | 14.2 | 51 | 25.9 | 82 | 41.6 | ||
27年度 | 191 | 16 | 8.4 | 21 | 11.0 | 42 | 22.0 | 74 | 38.7 |
次に、浪人生の合格者を加えた合格状況です。
武蔵 | 東京
一工 計 |
東京
一工 率 |
旧帝
一工 計 |
旧帝
一工 率 |
難関
国立 計 |
難関
国立 率 |
国公立
計 |
国公立
率 |
|||
29年度 | 15 | 7.8 | 21 | 10.9 | 37 | 19.3 | 73 | 38.0 | |||
28年度 | 23 | 11.7 | 34 | 17.3 | 60 | 30.5 | 97 | 49.2 | |||
27年度 | 21 | 11.0 | 29 | 15.2 | 52 | 27.2 | 93 | 48.7 |
合格実績の下降をもたらす要因は、さまざまなものがありますが、なかには「ポジティヴな要因」も存在します。
合格実績を堅調に伸ばしていたある高校が、ある年に「足踏み」のような状態で「成長」を停滞させることがあります。
しかし、それは必ずしも「学力の低下」を原因としているわけではありません。
ある年代の受験生が、同調的に、リスクを背負って「より上位」の大学に挑戦するようなタイミングが訪れるわけです。
そうすると、その年、多くの卒業生が浪人の道を歩むことになるわけですが、次年度には、浪人生を含めた実績を伸ばすことになります。
こうした進学校の「成長段階」を、建物の階段の構造になぞらえて、「踊り場」と呼ぶことがあります。
今年の結果を糧とした受験生たちが来年に捲土重来を果たすのであれば、武蔵は、進学校としてさらなる「ステップ・アップ」を遂げることになるでしょう。
一方で、「ネガティブな要因」についても考える必要があります。
大きく2つの「見地」があります。
ひとつは、「入口」の「選抜」が適正に「機能」していなかった可能性です。
当該の学年の入学試験が、「入学させるべき生徒」を妥当に合格させるようなものではなかったのだとすれば、「出口」の実績が「苦しく」なるわけです。
個人的には、立川国際は「その可能性」を捨てきれないと思っています。
「対応力を求める部分」と、「学力の錬成度を測る部分」の「(得点)配分」を誤ってしまうと、「中学側が望まない逆転」が起きてしまいます。
また、特に、「作文」で、適切な採点基準のもとに得点の算出がなされなければ、受験生の学力と入試得点に齟齬が生じてしまいます。
都立中は、都内各地から多くの応募者を集める高倍率の受検になります。
ゆえに、応募者の「学力レベル」が低下したために「出口」の実績が下降するという事態は想定できません。
現実に、都立中学受検で不合格となった受検生で、西、国立、日比谷等の最難関の都立高校に進学し、難関国公立に合格する生徒が何百人といるわけです。つまり、ある意味で、彼らは中学側にとって「入学させるべき生徒」だったわけですが、こうした事実は、単純に、都立中受検は「十分な資質を有した応募者」を潤沢に集めているということを物語っているわけです。
多くの優秀な受検生が集まる都立中受検では、何よりもまず、「適切な選抜」を行うことが重要になります。
(武蔵の場合は、昨年は「高入生」の大学受験実績がよかったわけですから、「その点」からも分析する必要があります。そして、高校入試の場合は、どちらかといえば応募者の「学力レベル」が維持されているのかどうかが焦点になります。)
また、合格実績の下降をもたらすもうひとつの「ネガティブ要因」は、「道中」の指導です。
当該の学年の6年(ないし3年)の学習指導がうまくいっていなかった可能性も考えなければなりません。
ところで、卑近な話ですが、先日、本屋に足を運んだら、「中高一貫校・高校 大学合格ランキング」という雑誌が出ていました。
ちょうど都内の高校の大学合格実績を調べているときだったので、奇遇に思って、買っておいたのです。
それで、私は、あまりブログの記事を「書きため」せずに、書き終ったら投稿して、あとで見直して誤字などがあったら修正したりしているのですが、一応その雑誌に目をとおしてから「高校の国公立大学合格実績」の記事の続きを投稿しようと思って、いくつか書いたものをちょっと「寝かせておいた」のです。
で、「悲劇」が起きたのです。
原稿やデータが、消えてしまいました。(ノω・、) ウゥ・・・
実は、この記事は書き直したものなのです。
さすがにちょっと気落ちしてしまって、元の文章をうまく再現できませんでした。
実は、もうちょっといろいろ書いていたのですが。
いや~、まいりました。
「中高一貫校・高校 大学合格ランキング」を見てみると、都立では八王子東が最も高い順位でした。
気になったので、東京都のランキングのうち、都都立中高を抜粋してみました。
順位 | 学校名 | ||
8 | 八王子東 | ||
9 | 国立 | ||
13 | 西 | ||
14 | 小石川 | ||
15 | 日比谷 | ||
17 | 立川 | ||
20 | 戸山 | ||
25 | 新宿 | ||
31 | 両国 | ||
32 | 武蔵 | ||
33 | 小山台 | ||
34 | 三鷹 | ||
35 | 青山 | ||
36 | 国分寺 | ||
38 | 大泉 | ||
39 | 立川国際 | ||
42 | 桜修館 | ||
44 | 南多摩 | ||
51 | 小松川 | ||
54 | 白鷗 | ||
56 | 富士 | ||
59 | 町田 |
(ivy 松村)